インタビュー4

ふぅ…とため息のような一息をつき

先程来た取材を思い返す。


きっと、チヤホヤされてきたのね。

どこか夜のお店で働いてコネ入社かしら…

あの編集の子、苦手だわ。


女を相手にしながら、女をださないでちょうだい。


香水の香りがするのも、

時折 長い髪を触りながらの仕草も

私には鬱陶しく思えて仕方ない。




「彼女は悪くないんだけどね…」




そう、彼女は悪くないのだ。

ただ私が思い出と彼女の外見を重ねて、

勝手な偏見で嫌悪感を抱くだけである。


ごめんなさいね、でも無理なのよ。


陽子にそっくりなんだもの。


華奢な体と、長い髪。

控えめに見せてるつもりだろうが

隠しきれない女としての自信。


そうね、いい女。だと思うわ。

羨ましく、妬ましいほどね。



…そして、また思い出す。


井上さん、あの子いいわねぇ。

これも勝手な偏見だ。


きっと、あの子は気づいてない。


自分の持ってる心地よい声色にも、

ふと見せた横顔の綺麗さや、

程よく肉づいた健康でしなやかな体。

染めていない艶のある黒髪のボブにも好感を持った、私の好みの問題である。


緊張してたわね…私もよ。


人見知りなのよ、ごめんなさいね。


本当は私から気遣って話をふるべきである。

でも、その一言、二言の会話が苦手で、

あんなに冷たい空気にしてしまう。


そう、いつもそうだ。

そして、相手がいない時に心の中で謝る。