インタビュー2

私は、子供の頃からずっと

女の子らしい、という声が

あまり好きではありません。



きっと従姉妹の陽子を思い出すから。



さっきから私をインタビューしてくれてる

この人は 井上翔子ちゃん。

私の連載の担当でもある彼女は

女性にしては少し低めの声で、

とても話が面白いから

つられて私も話してしまうんです。


まだアシスタントとして

頑張っていた頃から知っていますよ、

もう32になるそうです、はやいですね。


今年は私にとって

作家歴30年を迎える年でもあり

還暦になる年でもあり…


どってことないんですけどね、

周りがどんどんお祭りにしていくんです。


嬉しい気持ちもありますが、

気持ちだけにしてほしい、

という思いもあります。


だから、翔子ちゃんからの

インタビューだけ引き受けました。


還暦ともなれば

なんでも体調不良でいいんですよ、

ごめんなさいねぇ、って答えて

お手紙でも出しておきましょう。


翔子ちゃんは驚いてましたけどね。


「私でいいんですか?

もっとインタビューの依頼はきたでしょう?」


もちろん来ましたよ、

テレビの依頼もお断りしました。

何回も同じ事を話すのは嫌だから

私はデビュー作からお世話になっている

翔子ちゃんの出版社だけ、

カメラマンもお断りしました。

翔子ちゃんが撮ってくれたらいいんです。